遺伝子操作された蚊
米フロリダ州の列島、フロリダキーズに遺伝子操作した蚊を7億5000万匹放つという実験計画が発表され、同州は2020年6月にこの計画を了承した。
実験に使用される蚊は「OX5034」と呼ばれており、交配によって生まれたメスが成虫になる前に死ぬように遺伝子操作されている。
蚊の主食は花の蜜・草の汁であり、オスが吸血することはなく、メスは卵巣を発達させ卵を産むために血を必要とする。
これは、他の種とOX5034と交配させることで、徐々に数を減らしていくという実験である。
何のために蚊を減らすのか、それは感染症を減らすためである。
感染症を媒介するネッタイシマカ
ネッタイシマカとは全世界の熱帯・亜熱帯地域に分布し、黄熱・デング熱・ジカ熱などの感染症を媒介する。
デング熱の感染者数は、アメリカ大陸、東南アジア、西太平洋で2008年に120万人、2016年に334万人を超え、現在も感染者数は増え続けている。
2015年には、南北アメリカ大陸だけで、235万人のデング熱患者が報告され、そのうち10,200人は重症型デング熱と診断され1,181人が亡くなった。
デング熱には特異的な治療法が無く、医学的な対処を行えば致死率は1%以下だが、全世界では致死率が20%以上とまだまだ高い。
懸念される環境への影響
一部地元住民や、環境保護団体は環境や人間に悪影響を与えるのではないかと反対運動を行なっていた。
OX5034を開発したオキシテック社の科学者は、何十年にもわたって遺伝子操作した10億匹以上の蚊を放ってきたが、環境や人間へのリスクの可能性はなかったと説明。
2021年から2年間かけて放つ予定である。