豚からの臓器移植が可能に?
十数年前から考えられていた動物から人への臓器移植。
人体に合うように哺乳類の内臓を改変し、動物から人への異種移植が実現すれば、臓器の安定供給が可能になる。
そして異種移植ドナーとして研究が進められているのが豚である。
異種移植とは
ある種の個体から別の種の個体に、生きている細胞、組織、または臓器を移植すること。
現在研究が進められているのは人の臓器を豚の体で育て、人に移植するというものである。
ミュンヘン大学の研究チームによれば、豚の心臓を猿に移植する異種移植で945日間生かすことに成功している。
問題点・リスク
豚は、ブタ内在性レトロウイルス(PERV)を持っている。人間に対してどのような影響があるのかどうかはまだ分からない。
しかし、感染リスクは大きく危険性があることには変わりない。
米国の研究チームは、この問題点の解決にゲノム編集技術『CRISPR-Cas9』を用いた。
ゲノム編集によって細胞株内のPERVを不活性化させ、2017年8月にPERV遺伝子を不活性化した胚を代理母ブタに移植。
胎児はウイルスに胎内感染することなく、史上初のPERVを持たない子ブタを生むことに成功した。
しかし、倫理的な問題も課題である。
異種移植への道
現在、ドナーが足りていない状況が続いている。
新たな選択肢として考える時が来るかもしれない。
数年後には異種移植の臨床試験が始まるといわれており、PERVの感染リスクを排除するなど、安全性が高まれば実現に近づくと研究者は考えている。